消費税の簡易課税届はすぐ出そう!今ならコロナ特例の可能性も

胃痛な日々を送ったNPOの消費税問題で学んだことをもう1つまとめておきます。それが消費税簡易課税制度についてです。

簡易課税とは、ざっくり言うと収入5000万以下の法人が業種に応じて消費税の控除額を50%等に決めて、細かい計算抜きに消費税額を決定させるものです(あくまで素人の私のイメージです)

簡易課税を選ぶと消費税の減税に繋がる

まちづくりNPOにとって、この簡易課税には2つのメリットがありました。1つは消費税の減額に繋がること。

以前の記事でも書きましたが、うちのNPOは1,000万円の委託業務を受けた場合、その8割が人件費。でも人件費は消費税では控除できないため、残る1〜2割の事業費部分から控除する形となり、それはせいぜい10〜20万円ほどの控除となっていました(※実際はもう少し細かい計算)

つまり、1,000万に対する消費税10%としてざっくり計算すると、100万円から10〜20万円を控除し、納付する消費税は80〜90万円となります。これが通常の原則課税。

でも簡易課税だと、収入1,000万に対して、控除できる金額を50%と見なして計算します(この%は業種によって異なり、サービス業の50%を適用)消費税100万円であれば50%の金額を控除した50万円が納税額となります(※実際の計算はもう少し細かいです)

つまり、原則課税で80〜90万の消費税だったのが、簡易課税だと50万ですむ!という話になります。これはまちづくりNPOの人件費率の高さ(控除できない部分)からきていますので、同様の形であれば絶対に簡易課税がお勧めです。

またもう一つのメリットとして、計算が簡単になる、という点も挙げられます。原則課税ですと、事業費の中から控除する金額を抜き出し、今なら食品などの軽減税率(8%)もあるため、どれがその部分に該当するかなど、細かな計算が必要になります。

でも簡易課税であれば、そんなの気にせず50%で計算できちゃう。楽ちんです。

簡易課税はすぐ適応されない

そんな魅力的な簡易課税ですが、適応するには税務署に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。そしてなんだかモヤッとするのですが、提出したからといってすぐには適応されないという話もありました。

税務署で聞いたところによると、例えば今、令和3年4月〜の事業年度内に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出したとすると、届出が受理されるのは令和3年度ですが、それが適応されるのは翌年の令和4年4月〜の事業年度となるそうです。つまり、令和4年度の事業が終了する令和5年3月の決算に対する消費税、令和5年5月末までの納税時にはじめて適応できる(約2年かかる)ということなんです。

なので、簡易課税を選択したい法人は、とにかく早く、今すぐにでも提出しておくことをお勧めします。提出を忘れて決算を終えてホッとした4月・5月に提出しても、約2年後まで適応されない、ということになるからです。

今ならコロナ特例を利用できる可能性も

ただ書類1枚提出するだけなのに、なんでそんな先まで適応されないんだ〜〜〜と思いましたが、今だけ助け船がありました。それがコロナです。

この簡易課税には「災害等による消費税簡易課税制度選択届出に係る特例承認申請書」というものがあり、これがコロナ被害にも適応できる可能性がある、ということでした。

コロナで業務が減り、事務職員を解雇せざるを得なくなった、反対にコロナの相談で事務ができなくなるほど仕事が増えたなど、コロナの影響で事務処理が十分にできない状況が発生していれば、簡易課税の届出と合わせて、この特例申請書を提出して税務署の審査をクリアすれば、その年度から簡易課税を選択できるようになるそうです。

可能性のあるNPOさんはぜひ簡易課税+特例申請を提出してみてください。

【関連リンク】
支出は100万クラス。NPOにやってくる消費税の衝撃に備えろ!
http://konxjun.com/2021/05/31/shouhizei/

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